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真夜中コラム 第4夜 「4A」と見下すには狂気すぎる。MLBファンがNPBを「別格」と恐れる本当の理由

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真夜中コラム 第4夜 「4A」と見下すには狂気すぎる。MLBファンがNPBを「別格」と恐れる本当の理由

「4A」と見下すには狂気すぎる。MLBファンがNPBを「別格」と恐れる本当の理由

「日本のプロ野球は、MLBの1.5軍、あるいは『4A』レベルのマイナーリーグに過ぎない」という冷めた言説を、耳にしたことがある人は多いと思う。100マイルの剛速球と150メートルの弾道が飛び交う現代メジャーから見れば、数字の上ではそう映るのかもしれない。けれど、海の向こうのファンは本当に日本を「格下」として見下しているのだろうか?

「1球への執念」を忘れ去ったメジャーの冷めた空気

以前、このブログで『真夜中コラム 第3夜 なぜ欧州のファンはJリーグを「見ない」のか』という話を書いた。あの時はレベルの差というより「歴史と文脈の共有」が壁になっているという結論に至ったわけだけど、野球における日米の関係は、それとも少し毛色が違う。実力差という冷めた物差しをすっ飛ばして、向こうのファンは日本の野球に「異質な狂気」を感じているフシがあるのだ。

例えば、これ。トロント・ブルージェイズのスター、ヴラディミール・ゲレーロJr.が大敗中に見せた態度に対するファンの痛烈な皮肉。

8点も負けてるのに、一塁で相手チームと笑いながらおしゃべりしてるゲレーロJr.を見るのが本当に大好物だよ🙄🤦‍♂️

man i just love seeing vladdy laughing and joking with the other team at first while hes down 8 runs 🙄🤦♂

いや、皮肉の効き方がえげつない。目が白目を剥いている絵文字がすべてを物語っている。さらにこれに続くコメントがこれだ。

お金も手に入ったし、もう頑張る必要もないってか…ホワイトソックスはナイスゲーム!君たちの試合を追いかけて、勝つのを見るのが大好きなんだ!バルガス、ムラカミ、そして両モンゴメリーの大ファンだよ。プレーオフで会おう、いけドジャース!

He got his money no effort is needed now…Great game white Sox i love to follow you guys and see you win! Huge Fan of Vargas , Murisaki and both Montgomery’s ..See you at the playoff ,Go Dodgers!

「金を貰ったらもう頑張らない」とまで言われる始末。これ、日本のプロ野球でやったら一発で解説者に「覇気がない」だの「ファンに失礼」だのと袋叩きにされる案件だし、私も監督だったら即ベンチに下げて説教部屋行きにすると思う。ドミニカ共和国ではこれが普通だという擁護の声もあるけれど、良くも悪くもMLBは「ビジネス」であり「個人事業主の集まり」なのだ。

そんな乾いたエンタメに慣れたファンにとって、泥臭い「スモールベースボール」を徹底する日本の野球は、マイナーどころか「失われた聖地」のように映ることがあるらしい。レッドソックスが10連勝した時の、このファンの狂喜乱舞っぷりを見てほしい。

よっしゃあ!!!うちのチームをマジで誇りに思う!圧倒的なピッチングに超一流の守備、そしてスモールベースボール。きっちりバントを決める姿が最高すぎる。今ファンでいられてマジで幸せだ!!!

Let’s Go!!! So proud of my boys!!! Dominate pitching elite defense and playing small ball. Laying the bunt down and doing really good at it. So happy right now to be a fan!!!

吉田正尚の不敵な笑顔に「強者のオーラw」と湧きつつ、ファンが一番興奮しているのが「きっちりバントを決める姿」という渋さ。守備をきっちり固め、1点を泥臭く取りにいく姿勢。派手な本塁打競争に飽き飽きした層にとって、こういう丁寧なディテールこそが、今や「最もエキサイティングな野球」に昇華している。

高校生にWAR?日本人の野球愛は「好き」の次元を超えている

日本の野球が「マイナー」として片付けられない最たる理由は、そのデータの細かさとファンのディープさにある。海外の掲示板で、日本の女子高校野球を巡るルール議論が起きた際、アメリカのファンからこんな驚きの声が上がっていた。

日本の高校野球にWARの計算があるの?

They have WAR calcs for Japanese HS baseball?

「日本の高校野球にWAR(貢献度を示す指標)の計算があるのか」と。日本の有志やマニアが独自に算出している数字なのだが、これを見た海外のオタクたちが「日本人は昔からWARが大好きだからな」と納得しているのが面白い。

好きなんてものじゃないよ。10年くらい前にカル・リプケン・ワールドシリーズに関わったんだけど、日本のチームのレベルは高校生でさえ苦戦するくらいだった。通訳を通してコーチに「何人の子がナショナルチーム候補だったんですか?」って聞いたら、「今年はそんなに多くなくて、たった1万人くらいですよ」だってさ。

Love is an understatement. I was involved in the Cal Ripken World Series around a decade ago. I watched the Japanese team and they played at a level that I’d say even high schoolers would struggle. I ask the coach (via translator), how many kids were

「ナショナルチーム候補が1万人」って、もう分母が国家規模のプロジェクト。ここまでくると単なるスポーツの普及レベルじゃない。野球が生活、いや人生そのものに組み込まれている。

日本のファンのマニアックさは、なにも日本の球団に限った話ではない。ホワイトソックスでプレーするミゲル・バルガスや、マイケル・マイドロスの無駄のない守備、タナー・アントナッチのデッドボールを受けても動じないタフさに熱い視線を送る日本のファンのSNS投稿が現地に紹介され、「野球をよく分かってるね」と驚愕されていた。マイドロスの滑らかな守備の身のこなしなんて、スタッツに出ない渋い仕事の最たるもの。そんな地味な部分を極東のファンが熱心に追いかけているのだから、あちらのオタクたちも「こいつら本物だ」と認めざるを得ないのだろう。

満塁でのバントを議論する甲子園のスタンド

日本の球場を巡ったアメリカのファンの体験談が、また傑作だった。阪神甲子園球場に足を運んだファンのコメントが、NPBという場所の特異性を何よりも証明している。

甲子園に行くたびに(もう20年くらいになるかな)、誰かが話しかけてくるんだよね。野球の話のこともあれば、絶対天気の話題とか。この前は、大学生くらいの男の子たちが、満塁でのバントと強振の利点について、妻と英語で深く議論してたよ。

I think every time I’ve been to Koshien (going on 20 years now) someone will start a conversation with me, sometimes about the baseball, definitely something about the weather. Last time, some uni-aged guys got into a deep conversation with my wife –

満塁でのバント(おそらくスクイズ)と強振のメリット・デメリットを、大学生がスタンドで外国人観光客と英語でディベートしている光景。想像するだけで最高すぎる。ビール片手にそんな話を一晩中やり合える場所が、世界のどこに他にあるというのか。

だからこそ、安易に「NPBのチームをMLBの球団に例えるとどこ?」というスレッドが立つと、有識者たちから全力の「待った」がかかる。

全然違うよ。チームやファンの文化も違えば、スタジアムも違うし、都市との関係や親会社も違う。本当に似ているところなんて何もない。なんでそこまで無理やり比較しようとするのか、その意味が分からないな

They are quite different – team and fan culture is different, stadiums are different, relationship with city is different, ownership is different, they are really nothing alike. I am not sure why you want to force this comparison, what is the point?

「東京ジャイアンツ=ヤンキース」「阪神=カブス」みたいに括りたがるライト層に対して、千葉ロッテマリーンズのシーズンシートを長年持っているというヘビーな現地ファンは、「リーグもチームも、何もかもが完全に別物」と一蹴する。

要するに、彼らはNPBを「MLBの劣化コピー」や「下部組織」としては見ていない。ガラパゴス的に進化を遂げた、全く別の極彩色な「野球の惑星」として見ているのだ。

どっちが上か、なんて話はどうでもいい

そりゃあ、佐々木朗希のように凄まじいボールを投げる怪物が、ドジャースへ行ってヤンキース相手に6イニング無自責点なんてピッチングをやってのければ、現地のファンは大騒ぎする。

ドジャースの素晴らしい勝利がまた一つ増えた!勝負強いヒットに、見事な守備、安定した朗希の素晴らしいピッチング。6イニング近く投げて自責点ゼロだし、今日のブルペンも完璧にヤンキースを完封してくれたね。

Another great Dodgers win, they had clutch hits, great defensive plays and great pitching by Roki, gave up no earn runs in almost 6 innings, and the bullpen was great today shutting out the Yankees.

最高の人材が、最高の資金力を持つMLBに吸い上げられていく流れは今後も止まらないだろう。それを指して「やっぱりマイナーじゃないか」と言う人がいれば、まあ、実力論としてはその通りかもしれない。

でも、そこらの大学生が満塁でのスクイズについて英語で語り、大敗中のスターの笑顔にファンがブチ切れ、マイナーの守備職人のスローイングに極東から熱視線が送られる、この「野球そのものを骨までしゃぶる文化」の濃度において、日本がメジャーに劣っているとは到底思えない。

まあ、どっちの野球が上でどっちが下か、なんて結論を急ぐ必要はない。ただ、1球の重みにハラハラしながらビールを飲み干すあの時間が、日米のどちらにもそれぞれの形であるだけで十分じゃないか、と思う。

あとがき:訳スタ雑談

NPBを4Aと見下すには狂気すぎるって記事、ほんこれやわ。実際このレベル差はえぐいんよ。

ふむ、米国のファンがそこまで警戒しているとは驚きですね。

MLBの連中も、NPBの別格な質を認めざるを得ないってことやろが。

なるほど。彼らのプライドが揺らぐほどに、日本の野球は洗練されているのでしょう。

結局、野球という競技の奥深さが、世界に伝わっとるってことやな。まあ知らんけど。

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