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真夜中コラム 第20夜 海外ファン「まだレンタル地獄にいるかと」──W杯や大ニュースで急に現れる「にわか」の正体

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真夜中コラム 第20夜 海外ファン「まだレンタル地獄にいるかと」──W杯や大ニュースで急に現れる「にわか」の正体

海外ファン「まだレンタル地獄にいるかと」──W杯や大ニュースで急に現れる「にわか」の正体

なぜW杯になると、突然サッカーに詳しくなる人が巷にあふれるのか。普段は試合を観ないのに4年に一度だけ「あのカバーリングが良い」などと語り出す人々を見て、苦笑いした経験は誰しもあるはずだ。ただし、ここで強く言いたいが所謂にわかを否定するつもりはない。新しく流入するライト層は誰しもにわかである。自分もかつてそうだった。ただ、このような現象は日本に限った話ではない。

数年前の記憶で時が止まる人々

10月の深夜、冷えてきた空気のなかで海外の掲示板を漁っていると、実に面白いものを見つけた。久保建英の結婚発表に対する、海外のライト層たちの反応だ。久保は現在レアル・ソシエダで活躍し、169センチと小柄ながら攻撃のタクトを振るっているが、普段サッカーを追っていない層の記憶は、何年も前でピタリと止まっていたらしい。

もちろん二人とも本当におめでとう!でも、あいつがレアル・マドリードのレンタル地獄からもう3年も前に脱出してたなんて、こんな形で知ることになるとは思わなかったよ。

Obviously big congrats to them, but this is not how I expected to find out that this guy is in fact no longer in Real Madrid loan hell, and has not been for three years.

まさか結婚のニュースで「レンタル地獄から脱出してたこと」を知るとは、これには笑った。ソシエダで不動の主力になって久しいが、追っていない人からすれば、いまだにマドリーからあちこち貸し出されている若手のイメージだったわけだ。さらに、こんな勘違いまで飛び出す。

あぁ、あの選手のことか。なぜかイタリアでプレーしていた引退間近のベテラン選手の一人だと勘違いしていたよ。

Oh, it’s that player. For some reason I thought it was one of the old ones that played in Italy.

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2001年生まれの久保を「イタリアでプレーしていた引退間近のベテラン」と混同する。誰と間違えているのかは分からないが、この凄まじい時空の歪みこそ、大ニュースのときだけひょっこり顔を出すライト層のリアルな境界線なのだ。

負け惜しみに「野球のWBC」を持ち出すベネズエラファン

お祭り騒ぎになると、自分の持っている全然関係ない知識を持ち出してマウントを取ろうとするのも、世界共通の仕草だ。上田綺世(現在はリールに所属するFW)が決勝PKを決めた試合の後、判定に納得のいかない相手サポーターが、とんでもない角度から噛みついていた。

あからさまな強盗だ!野球のWBCで俺たちが日本を破ったことが、まだ消化できてないんだろ!

ROBO DESCARADO , NO SUPERAN QUE LOS ELIMINAMOS EN EL CLASICO MUNDIAL DE BEISBOL

サッカーの親善試合で負けた悔しさを、なぜか野球のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の勝敗で上書きしようとしていると妄想。この強引さは凄まじい。すかさず別のファンから冷静な突っ込みが入る。

日本はWBCでベネズエラを応援してたし、敗北も受け入れただろ。別の競技なんだから、野球とサッカーを一緒にするなよ。

Japón apoyo a Venezuela en el clásico y acepto díganme te su derrota no juntes una cosa con otra esta es otra disciplina papá

「別の競技なんだから一緒にするな」というのは至極真っ当な指摘だ。だが、負けた腹いせに手持ちの別競技カードを切って大騒ぎするあたり、ファンの必死さが滲み出ていてどこか憎めない。

「にわか」がもたらす熱狂を楽しめばいい

4年に一度、あるいは国の代表での戦いなど愛国心が揺さぶられるニュースが起きたときだけ、こうした「歪んだ知識」を持った人々が津波のように押し寄せてくる。ルールも怪しい、選手の所属もあやふや、なんなら他のスポーツの話まで混ぜて語りだす。

古参の観戦オタクとしては「にわかは黙ってろ」と一蹴したくなる気持ちも分からなくはないが、あの熱狂的なお祭り騒ぎは、こうした勘違いやトンチンカンな騒ぎも含めてパッケージなのだ。最初から完璧に詳しいファンなど存在しない。冒頭にも言及したが私だって、20年以上前に深夜にしがみつき始めた頃は、ただの「にわか」だった。

時空の歪んだ海外ファンのコメントを眺めながら、「いや、久保はとっくにソシエダの重要な選手だし、少なくとも去年まではそうだった。上田はリールで点取屋として確立しつつある。」と心の中で突っ込む。この答え合わせの作業こそ、実は古参サポーターに与えられた一番の贅沢なのかもしれない。当然、日本人の贔屓目もあるが。

彼らがこの先、前線からの守備やオフザボールの巧みさに気づくほどディープな沼に沈むかどうかは、正直まだ分からない。けどまぁ、どんなプレーが重要視されるかはお国柄にもよるか。

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